毎年6月、私たちは夏越の祓いで心身を清めます。
その中心となるのが茅の輪くぐりですが、間違った方法では意味がありません。
実は、避けるべき行動があることを知っていますか?
神聖なこの儀式で、不適切な行為をしてしまえば、その価値は半減してしまいます。
そこで、この記事では茅の輪くぐりで避けるべき行為と、適切な作法について詳細にご説明します。
この記事を読んでいただければ、今年の夏越の祓いにあなたは完璧に備えることができるでしょう。
最後までご覧いただき、より充実した夏越の祓いを迎えましょう。
この記事でお伝えすること:
- 茅の輪くぐりで避けるべき5つの行為
- 茅の輪くぐりの適切な作法
- 茅の輪くぐりに適した服装
- 茅の輪くぐりに必要な持ち物
- 茅の輪くぐりの際の注意事項
茅の輪くぐり:古代から続く清めの儀式
茅の輪くぐりは、日本の夏の風物詩として知られる夏越の祓いの一環です。
この伝統は縄文時代にまで遡り、古来より悪霊や疫病から身を守るための守りとして用いられてきました。
平安時代には、神道と仏教の融合により、除災行事としての位置づけが確立されました。
簡単にいうと、こんな話
茅の輪くぐりの起源は、日本の古い伝説に基づいています。
その物語は、武塔神という神様が旅をしていて、ある兄弟に宿泊を求めたところから始まります。
裕福な弟(巨旦将来)は神様の宿泊の願いを断りましたが、貧しい兄(蘇民将来)は歓迎しました。
神様は兄の家族に感謝のしるしとして、萱草で作った輪を腰につけると病気から守られるという秘訣を教えました。
この助言に従った兄の家族は、その後流行病が蔓延した際にも無事でいられたとされています。
茅の輪くぐりとは?
茅の輪くぐり(ちのわくぐり)は、大祓(おおはらえ)で行われる除災行事の一つ。
この茅の輪くぐりには、知らずに犯した罪や穢れを除き去る祓えの行事という意味があり多くの人に親しまれています。
ちなみに茅の輪というのは、竹で輪を作って茅を巻いた物のことです。
茅の輪くぐりの時期
茅の輪くぐりは、夏越の祓(なごしのはらえ)にて行われる。
夏越の祓(なごしのはらえ)とは、6月の大祓のこと(六月祓とも呼ぶ人もいる)
よく似た言葉に、12月の大祓を年越の祓(としこしのはらえ)というのがありますから混同しないように注意をしましょう。
夏の祓いの儀式、茅の輪くぐりでやってはいけないこと6つ
夏越の祓いは、私たちの罪や穢れを祓い、新たな季節を清らかに迎えるための重要な行事です。
特に茅の輪くぐりは、その中心的な儀式として知られています。
しかし、この神聖な行為を行う際には、以下の点に注意しましょう。
-
茅の輪を持ち帰らない
茅の輪は罪穢れを移すためのもの。
持ち帰ると、その罪穢れが自宅に戻ってしまいます。
万が一触れてしまった場合は、すぐにお清めを行い、手を洗いましょう。 -
写真撮影は慎重に
周囲の人々の迷惑にならないよう、人がいないことを確認してから撮影しましょう。
フラッシュ撮影は禁止されている場合が多いので、特に注意が必要です。 -
くぐる方向に迷わない
左右どちらからくぐっても問題ありませんが、神社によっては決まりがあることも。
不明な点は、神社の職員に尋ねるのがベストです。 -
必ず茅の輪をくぐる
茅の輪くぐりは、無病息災を願う大切な儀式。
見過ごさずに、この機会を活かしましょう。 -
祈りを捧げる
茅の輪をくぐった後は、健康や幸運など、願い事を祈るのが一般的です。
何も祈らずに去るよりも、祈りを捧げた方が効果が期待できます。 - 氏子以外がくぐってはいけない場合も
多くの神社では、氏子以外もくぐっても良いとされています。ですが神社によっては氏子以外はくぐってはいけないとしている所もあります。
ですから、この点に事前に確認しておくことも必要となるかもしれません。
(氏子とは、地元の神社に関わる地域住民のこと)
祈りを捧げるについて
茅の輪くぐりのご利益として以下のような物があります。
ですから、何を祈るのか迷う場合は以下のいずれかに関わる分野を願うのも良いかもしれませんね。
茅の輪くぐりの深い意味:
- 罪穢れを祓う:心身の穢れを清める
- 厄落とし:一年の半ばで厄を落とす
- 無病息災を願う:健康と安全を祈願する
- 五穀豊穣を祈願する:豊かな収穫を願う
- 蘇民将来伝説:疫病神を追い払った伝説に基づく
茅の輪くぐりの服装と持ち物
服装は動きやすく、神社の規則に反しないものを選びましょう。
日差しが強い場合は、帽子や日焼け止めが役立ちます。
また、汗をかいたり喉が渇いたりすることも考えられるので、ハンカチや飲み物を持参すると安心です。
貴重品は常に身につけておくことを忘れずに。
- 動きやすい服装を選ぶ
神社の規則に反しない服装を選び、快適に行事に参加しましょう。 - 持ち物は最小限に
必要最低限の持ち物で参加し、心身ともに軽やかに行事を楽しみましょう。
茅の輪くぐりの準備と実践
茅の輪くぐりを行う際の服装や持ち物についても、いくつかのポイントがあります。
動きやすい服装を選び、日差し対策として帽子や日焼け止めを用意しましょう。
また、汗を拭くハンカチや水分補給のための飲み物も忘れずに。
今年の夏越の祓いでは、これらのポイントを踏まえ、茅の輪くぐりを行い、心身ともに清められた一年を過ごしましょう。
いざ茅の輪くぐり!(正しい作法)
茅の輪くぐりは、どちらから回るかなどが神社で違ってくる場合もあります。
ですから実際に茅の輪くぐりを行う前に、茅の輪くぐりの行い方が近くに書かれていないかなど確認するのも良いかもしれません。
- 茅の輪の前で一礼
- 左回りで茅の輪をくぐる
- 反対側から右回りでくぐる
- 左右交互に合計3回くぐる
- 最後に一礼して参拝
上記の左右交互に合計3回くぐるの部分が分かりにくい方は、以下を参照にしてください。
- 茅の輪の前で一礼
- 左回りで茅の輪をくぐる
- 反対側から右回りでくぐる
- 再び左回りで茅の輪をくぐる
- 反対側から右回りでくぐる
- 最後に左回りで茅の輪をくぐる
- 反対側から右回りでくぐる
- 最後に一礼して参拝
これにより、左右交互に合計3回くぐることになります。
この作法は、罪穢れを祓い、無病息災を願うための伝統的な方法とされています。
神社によって違うくぐり方
くぐり方は、神社によって違う場合があります。
ちなみに奈良県の大神神社だと、茅の輪が榊・杉・松をかかげた3連となっています。
そして奈良県の大神神社だと茅の輪潜りの順番も違っていて……
- 中(杉)
- 右(松)
- 中(杉)
- 左(榊)
……このような順番になっています。
茅の輪くぐりが有名な神社
全国には多くの神社で茅の輪くぐりが行われますが、その中でも特に有名な神社をこの章ではご紹介します。
関東
- 東京大神宮(東京都千代田区)
- 神田明神(東京都千代田区)
- 明治神宮(東京都渋谷区)
- 浅草寺(東京都台東区)
- 出雲大社東京分社(東京都千代田区)
- 水戸八幡宮(茨城県水戸市)
- 日光二荒山神社(栃木県日光市)
- 筑波山神社(茨城県筑西市)
- 成田山新勝寺(千葉県成田市)
- 川崎大師(神奈川県川崎市)
関西
- 伏見稲荷大社(京都府京都市)
- 貴船神社(京都府京都市)
- 下鴨神社(京都府京都市)
- 八坂神社(京都府京都市)
- 伊勢神宮(三重県伊勢市)
- 住吉大社(大阪府大阪市)
- 春日大社(奈良県奈良市)
- 東大寺(奈良県奈良市)
- 熊野三山(和歌山県田辺市、新宮市)
- 淡路島神社(兵庫県南淡路市)
中部
- 熱田神宮(愛知県名古屋市)
- 出雲大社佐々良宮(静岡県浜松市)
- 富士山本宮浅間神社(静岡県富士市)
- 白山比咩神社(石川県白山市)
- 諏訪大社(長野県諏訪市)
- 金刀比羅宮(香川県琴平町)
- 伊勢神宮(三重県伊勢市)
- 津島神社(愛知県津島市)
- 建部大社(岡山県浅口市)
東北
- 鹽竈神社(宮城県塩竈市)
- 松島神社(宮城県松島町)
- 秋葉神社(秋田県秋田市)
- 山王大社(山形県酒田市)
- 羽黒山神社(山形県鶴岡市)
- 飯坂温泉 八幡神社(福島県福島市)
北海道
- 北海道神宮(北海道札幌市)
- 伊勢神宮北海道分社(北海道札幌市)
- 札幌市護国神社(北海道札幌市)
- 函館八幡宮(北海道函館市)
- 伏見稲荷大社北海道分社(北海道苫小牧市)
九州・沖縄
- 太宰府天満宮(福岡県太宰府市)
- 筥崎宮(福岡県福岡市)
- 霧島神宮(鹿児島県霧島市)
- 出雲大社九州御分社 宇佐宮(大分県宇佐市)
- 住吉大社(福岡県福岡市)
- 厳島神社(広島県廿日市市)
- 金比羅宮(香川県琴平町)
- 八幡竈門神社(福岡県宇佐市)
- 諏訪大社(長野県諏訪市)
- 那智大社(和歌山県那智勝浦町)
注意
各神社の茅の輪くぐり開催時期や時間は、神社によって異なります。
ですから事前に確認するようにしましょう。
茅の輪くぐりQ&A:夏越の祓いの疑問を解決
夏越の祓いの中心行事である茅の輪くぐりは、私たちの心身を清めるための重要な儀式です。
ここでは、茅の輪くぐりに関するよくある質問とその回答をご紹介します。
Q1:茅の輪くぐりはいつ行うべきですか?
A1:茅の輪くぐりは、毎年6月に行われる夏越の祓いの一環として実施されます。
多くの神社では6月30日に行われることが一般的ですが、神社によって日程が異なる場合もあるため、事前に確認することをお勧めします。
Q2:茅の輪くぐりに適した服装は何ですか?
A2:動きやすい服装が推奨されます。
露出度の高い服装や派手な服装は、神社によっては不適切とされることがあるため、訪問前に神社の規則を確認してください。
Q3:茅の輪くぐりの際に持参すべきものはありますか?
A3:特に必要な持ち物はありませんが、夏の暑さで汗をかいたり喉が渇いたりすることを考慮して、ハンカチや飲み物を持参すると良いでしょう。
Q4:茅の輪くぐりの際の注意点は何ですか?
A4:周囲に人がいないことを確認してから行い、写真撮影は他の参加者に迷惑をかけないようにしましょう。
くぐる方向に迷った場合は、神社の職員に尋ねるか、他の参加者にフォローを求めてください。
茅の輪をくぐった後は、何かしらの祈りを捧げることが推奨されます。
Q5:茅の輪くぐりをすることで得られるご利益は何ですか?
A5:茅の輪くぐりを通じて、罪や穢れを祓い、無病息災を願うことができます。
また、厄落としや開運などの追加のご利益があるとされています。
おわりに
今回は茅の輪くぐりについてお伝えしました。
やってはいけないことも存在するので、その点には注意をしましょう。
ですが、その注意点さえ守れば多くの人に親しまれる伝統なので、それほど警戒をしなくても大丈夫です。
気軽に、茅の輪くぐりをするようにしましょう。