臭さは、計測できる。
その単位はAu(アラバスター)で表記される。
臭さを数値化できるため、主観ではなく客観的な臭いものが何かを知ることができる。
このAuが最も高いのがシュールストレミング。
その数値は8070Au。
鮒寿司し(ふなずし)が486Au、納豆が452Au。
すなわちシュールストレミングの臭いは、納豆の約20倍ということに!!
今回は、このシュールストレミングについて少し詳しくお伝えさせて頂く。
臭い缶詰世界一!シュールストレミング
世界一臭いと言われる缶詰であるシュールストレミング。
スウェーデンの缶詰で、魚のニシンが原料となっている。
で、このシュールストレミングなんだけど臭いの例えが酷い!
生ゴミを直射日光に当てて何日も放置した臭いだとか言われることが多い。
いくらなんでも食べ物にひどすぎる……と、思いきや実はあながち間違った表現ではない。
シュールストレミングの臭いについて
なぜ”生ゴミを直射日光に当てて何日も放置した臭い”という表現が、シュールストレミングの臭いとして間違いではないのか?
それはシュールストレミングを作る時に、ニシンを入れる入れる缶にある。
シュールストレミングは、缶の中でニシンを発酵させて作る。
実はこのシュールストレミングに使う缶は未殺菌。
シュールストレミングは発酵させて作るけど、缶が未殺菌であるため発酵と同時に腐敗も進んでしまう。
このため生ゴミを腐らせた嫌な臭いに例えられても、それは仕方がないと言える。
シュールストレミングの缶内にはガスが発生している
シュールストレミングは、ニシンを缶の中で発酵(少し腐敗)させて作られる。
食べ物というのは、腐敗するとガスを発生させる。
とうぜんシュールストレミングも、作られる過程でガスが発生している。
このガスの臭いが酷い。
では、どんなガスが発生しているのかというと……
- プロピオン酸:刺激臭
- 硫化水素:腐った卵みたいな臭い
- 酪酸:生物が腐敗したような臭い
- 酢酸:腐った牛乳みたいな臭い
……このように、多種多様な腐敗臭が缶の中に詰まっている。
これらのガスの臭いなんだけど、室内で缶を開けると家具に臭いがついてしまい取れなくなるしつこさがある。
しかも食べた場合は、数日間は人間から臭いが消えないというオマケ付き。
よってシュールストレミングを食べるのなら、連休を全て潰すつもりで一番最初の日に屋外で食べるようにしなければならない。
そういった理由から、販売しているサイトなどでは室内で開けないように注意を促している所も多い。
ちなみに缶の中にガスが詰まっているので、開け方によっては膨張した中身が飛び散って悲惨なことになる点にも注意が必要だったりもする。
実は缶詰ではない
シュールストレミングは、世間では缶詰とされることが多いけど作り方を見ると缶詰の定義から外れる。
缶詰と呼ばれるものには、殺菌のための加熱が必須。
でもシュールストレミングは加熱されないので、缶入り食品と定義されている。
シュールストレミングの輸出入について
シュールストレミングは、作られた現地であれば600円ほどで買える。
でも日本に輸入した場合は、5000円にまで値段が膨れ上がる。
これは輸入した会社が儲けるため…………ではなく輸入方法があまりにも特殊過ぎるため。
シュールストレミングは危険物
シュールストレミングは食べ物なのに、国連のルールによって危険物として扱われる。
具体的には航空規制液体「国連番号3334」。
この数字がどのような物なのかというと、毒劇物や爆発物のために用意された規格。
もはや食べ物扱いされていない。
危険物として扱われるので、当然のように輸出入の手続き、梱包、移送時の管理方法が特殊な物となる。
それらが値段に反映されてしまっている。
航空会社が嫌がるシュールストレミング
シュールストレミングは、多くの航空会社が取り扱いを避けている食材。
それ以前に、気圧が変化することにより缶詰内のガスが膨張して爆発する可能性があるので、空輸は禁止されている。
このため船を使っての輸入が中心となる。
海路で日本に輸入する場合、だいたい2ヶ月はかかる。
しかも熱帯地域を通ることになるので、発酵はかなり進んでしまうことに……。
その発行の進み方は、日本に到着する頃には発酵が進み過ぎて固形部分が喪失しているということがあるほどだとか。
他の臭い食べ物
もはや兵器としか言いようのない臭さのシュールストレミング。
シュールストレミングに関しては、怖いもの見たさで『生涯に一度くらいは食べてみたい』という方はいるけど『いくらでも食べられる』と愛食を宣言する方は滅多にいない。
でも臭い食べ物でも、世界一臭いとされるエピキュアーチーズは違う。
コチラの臭いは1870Auと、シュールストレミングの4分の1程度と少し食べやすいというのもあるだろうけど。
エピキュアーチーズ
エピキュアーチーズは、ニュージーランド最大の乳業企業のフォンテラ社から出ているチーズ。
通常のチーズであれば熟成期間は長くても1年ほど。
でもエピキュアーチーズは3年間も熟成させる。
とても深いコクと強い味わいがあり愛好家の多いチーズだった。
でも現在は強すぎる臭いを避けられる方が多かったため、臭いが弱い箱入りのものが主流となっている。
なお、このエピキュアーチーズもシュールストレミングと同様に缶の中で発酵させるので、缶の中はガスが充満している。
日本一臭い食べ物
日本一臭い食べ物はくさやという干し物。
熱を通す前は447Auで、熱を通すと1267Auにもなる食べ物。
でもシュールストレミングは、くさやの6倍の戦闘力(臭さ)……。
くさやの臭いは、作るときに漬ける発酵したタレにある。
くさやに使われるたれは、古いものであれば200~300年前から使われているとか。
おわりに
今回は、世界一臭い缶詰として有名なシュールストレミングについてお伝えした。
世界一臭いということもあり、一生に一度くらいは食べたいという方も多いシュールストレミング。
でも室内で開封して、取り返しのつかない効果をする方もいるとか……。
だからシュールストレミングの開封は、絶対に屋外で行うことを心がけようね☆-( ^-゚)v