リチウムイオン充電池は、スマートフォンやノートパソコンなどの携帯機器に広く使われている。
このリチウムイオン充電池の原理を簡単に説明すると、正極と負極の間をリチウムイオンが移動して、充放電を行う2次電池のこと。
今回は、このリチウムイオン充電池の寿命と判定方法についてお伝えさせて頂く。
リチウムイオン充電池の寿命の目安は?
リチウムイオン充電池の寿命というのは、主に以下の2つの要因で決まる。
- サイクル回数
- 使用期間
サイクル回数とは?
サイクル回数とは、バッテリー容量100%に相当する電力を充放電することを1回とカウントしたもの。
例えば、バッテリー容量50%で充電
→その後50%使って残量0%になるまで使う=1サイクルしたとカウント
一般的に、リチウムイオン充電池は3500サイクル程度が寿命の目安であるとされている 。
使用期間とは?
使用期間とは、名前の通り製造から経過した年数のこと。
リチウムイオン充電池は、使用していなくても自然放電や内部劣化が進むという特徴がある。
このため時間が経つほど性能が低下してしまう。
一般的に、リチウムイオン充電池は6~10年程度が寿命の目安とされている。
リチウムイオン充電池の寿命を判定する方法
アナタが使っているリチウムイオン充電池が寿命に近づいているかどうか?これを判定する方法は意外と簡単。
その方法とは、バッテリー残量表示を見ること。
スマートフォンやノートパソコンなどでは、画面上にバッテリー残量をパーセントやアイコンで表示してくれる。
その表示が、急激に減ったり増えたりする場合は要注意。
バッテリー性能が低下している可能性が高い。
また、バッテリー残量表示が100%でも実際には満充電されていなかったり、逆に0%でもまだ少し使えたりする場合も、バッテリー性能が低下している可能性が高い。
ただ、この方法は絶対ではない。
バッテリー残量表示だけで判断するのはあくまで目安で、正確な判定をするには専門的な機器や知識が必要となる点には注意が必要。
リチウムイオン充電池の種類や特徴
リチウムイオン充電池は、色々な特徴や種類が存在している。
それらの区別は、正極や負極に使われる材料によって分類されることが多い。
材料によって容量や安全性などに違いが出てくる。
ここでは、正極や負極に使われる材料として代表的なものをお伝えさせて頂く。
- コバルト酸リチウム
○高エネルギー密度、小型化や薄型化に適している
○高温時や過充電時に発火・爆発する危険性がある - マンガン酸リチウム
○安価で安全性が高く環境負荷も低い
○容量劣化や自己放電率が高い - ニッケル酸リチウム
○高容量で高出力性能
○コストや安全性の面で課題がある - リン酸鉄
○安全性やサイクル特性に優れている
○エネルギー密度や出力特性が低い
- グラファイト
○高容量で各種特性も優れており主流
○過放電時に発火・爆発する危険性がある - コークス
○放電時の電圧変化を活かして使用されている
○容量劣化や自己放電率が高い - チタン酸リチウム
○安全性やサイクル特性に優れている
○エネルギー密度や出力特性が低い
リチウムイオン充電池は、これらの材料を組み合わせたり複合化したりすることでさまざまな特徴を持足せることが出来る。
このため色々な用途や条件で使える物があり、最適なものを選ぶことが重要となってくる。
リチウムイオン充電池の寿命を延ばす方法
最後に、リチウムイオン充電池の寿命を延ばす方法をお伝えさせて頂く。
寿命を延ばすためには、基本的には以下の3つのポイントに注意するとよい。
- 過充電や過放電を避ける
- 高温や低温を避ける
- 定期的にメンテナンスする
過充電や過放電とは?
過充電や過放電とは、バッテリー容量100%以上や0%以下になるような状態を続けること。
この状態というのは、バッテリー内部で異常な化学反応や物理変化を引き起こし、劣化や膨張を促進してしまう。
高温や低温とは?
40℃以上や0℃以下の環境で使用したり保管したりすること。
この行為もバッテリー内部で不安定な状態を引き起こし、劣化や膨張を促進してしまう。
定期的にメンテナンスするとは?
定期的にメンテナンスするとは、バッテリー容量100%から0%まで使ってから再び100%まで充電すること。
これを1~2ヶ月に1回程度行うことで、バッテリーが長持ちをする。
リチウムイオン充電池の交換方法や処分方法
リチウムイオン充電池は発火・爆発の危険性がある。
このため寿命を迎えた場合、注意をして交換や処分をしないとならない。
交換方法は機器によって異なるが、基本的には以下の手順で行う。
ただ自分で交換のできない機器も存在する。
そういった場合は、無理に自分で交換をせずメーカーや販売店に相談をするようにしよう。
- 機器の電源を切る
- バッテリーを取り外す
- 新しいバッテリーを取り付ける
- 機器の電源を入れる
リチウムイオン充電池の捨て方
リチウムイオン充電池、家庭ごみとして捨てることは出来ない。
このため、市町村や自治体に捨て方を問い合わせするか、販売店やメーカーに返却するか、専門の回収業者に依頼することになる。
また処分する前にはバッテリー残量を0%にしておこう。
これは残量がある状態で処分すると、破損やショートなどで発火・爆発する危険性があるため。
おわりに
今回は、リチウムイオン充電池の寿命と判定方法についてお伝えした。
リチウムイオン充電池は、現代社会で欠かせないアイテムであるスマホなどにもつかわれている。
だからリチウムイオン充電池の処分方法などは、知らないと困る事のある情報であるといえる。
リチウムイオン充電池は、捨て方などが一般的なごみと違う点には注意が必要。
また長持ちをさせるコツというのも存在するので、その点も意識を向けたい。