2023年7月に入ってから、ツイッターの利用者は驚くべき現象に直面した。

1日に閲覧できる投稿数が制限され、ログインしないと見られないこともあったのだ。

 

この措置は、ツイッターを所有する米富豪イーロン・マスク氏が決めたもので、AI企業などがツイッターのデータを大量にスクレイピングしていることに対処するためだと説明されている。

 

しかし、その真意や影響はどうなのだろう?

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スクレイピングとは何か?

スクレイピングとは、インターネット上の情報を機械的に取得することを指す。

 

例えば、WebサイトやSNSの投稿をプログラムで自動的に読み込んでデータベースに保存するような操作がスクレイピングにあたる。

 

スクレイピングは、検索エンジンや価格比較サイトなどのサービスを提供するために必要な技術であり、合法的に行われる場合もある。

 

しかし、スクレイピングには問題も多い。

まず、スクレイピングされた情報が著作権やプライバシーを侵害する可能性がある。

例えば、ツイッターの投稿や画像を無断で引用したり、個人情報を抜き出したりすることは法的に許されない場合がある。

 

また、スクレイピングされた情報が不正確や誤解を招くような内容であったり、悪意のある目的で利用されたりすることも問題。

例えば、ツイッターの投稿を偽造したり、話題操作や方向付けをしたりすることは社会的に不適切である。

 

さらに、スクレイピングはスクレイピングされる側にとっても負担になる。

大量のデータを抽出されると、サーバーに負荷がかかり、パフォーマンスや安定性が低下する恐れがある。

また、スクレイピングされる側はそのデータに対してコストや労力をかけているのに、スクレイピングする側はそれを無料で得て利益を得ることができる。これは不公平であり、ビジネス上の損失につながる。

 

マスク氏はなぜ閲覧制限を始めたのか?

マスク氏は自身のツイートで、ツイッターのデータが「攻撃的なほど」スクレイピングされていると指摘した。

 

その中には、「AIをやっているほとんどすべての企業」が含まれており、「大量のデータをスクレイピングしていた」と述べた。

マスク氏は、これによってツイッターのサーバーに負荷がかかり、通常のユーザーへのサービスが低下していると説明した。

そのため、一時的な緊急措置として、閲覧制限を実施したという。

 

マスク氏が特に問題視しているのは、AI企業がツイッターのデータを利用して、チャットボットなどの生成AIのモデルを訓練することだと思われる。

 

生成AIとは、人間の言語や画像などを自動的に生成することができるAIのことである。

生成AIの開発には、現実の人間の会話や情報が大量に必要であり、ツイッターや掲示板サイトなどにある数十億件の投稿は、AIの訓練データとして非常に重要だとされている。

 

しかし、マスク氏はこれを快く思っていないようだ。

マスク氏は自身もAI企業を経営しており、チャットGPTなどの競合他社と対抗するために、大量のGPUリソースを調達していると報じられている。

マスク氏は、「情報はタダじゃない」ということを訴えたいのかもしれない。

つまり、ツイッターのデータを使うならば、それに見合った対価を支払うべきだということだ。

 

マスク氏がツイッターの閲覧制限を始めた理由2

マスク氏は、ツイッターの閲覧制限を始めた理由として、「過度なレベルのデータスクレイピングとシステム操作に対処するため」と述べている。

 

では、マスク氏がなぜAI企業がツイッターのデータをスクレイピングすることに問題を感じたのだろうか?

 

一つの可能性として、マスク氏は自身が関わるAI企業「OpenAI」や「Neuralink」の利益を守るためだったと考えられている。

 

 ツイッターのデータは、AIモデルの構築や学習にとって貴重な資源。

 

 マスク氏は、他のAI企業がツイッターのデータを無断で利用することで、自社の競争力や独占力を損なわれることを恐れたのかもしれない。

 

もう一つの可能性として、マスク氏は自身の発言や評判に影響を与えるシステム操作を防ぐためだったと考えられている。

 

 マスク氏は、ツイッターで自分の思い通りに話題操作や広告塔にしてきた。

 

 マスク氏は、他のユーザーやボットがツイッター上の会話やトレンドに介入することで、自分のメッセージやイメージが損なわれることを嫌ったのかもしれないという意見もある。

 

いずれにせよ、マスク氏はツイッターの閲覧制限を自分勝手な理由で始めたと考えた方が多いようだ。

 

閲覧制限はどんな影響を及ぼすか?

マスク氏が始めた閲覧制限は、ツイッターの利用者や広告主にとって大きな影響を及ぼす可能性がある。

 

まず、利用者にとっては、ツイッターが情報収集や交流の手段として使えなくなる恐れがある。

特に、災害時や緊急時にツイッターがライフラインになる場合もあるため、防災情報や安否確認などができなくなるという実害が出ている。

 

次に、広告主にとっては、ツイッターが広告媒体として魅力を失う恐れがある。

閲覧制限によって、広告表示数やエンゲージメント数が減少し、広告効果が低下する可能性がある。

また、閲覧制限が突然かつ無警告で行われたことで、広告主からの信頼も失われる可能性がある。

 

最後に、ツイッター自身にとっても、閲覧制限は自滅行為になりかねない。

閲覧制限によって、利用者や広告主を失うことで、収入や評価が下落する可能性がある。

また、閲覧制限が長期化すれば、競合他社に利用者や広告主が流出する可能性もある。

 

さらに、閲覧制限は法的な問題も引き起こす可能性がある。

例えば、利用者や広告主から損害賠償請求をされたり、公正取引委員会から独占禁止法違反で調査されたりする可能性もあ

る。

 

閲覧制限はいつまで続くのか?

ツイッターは、閲覧制限は「一時的な緊急措置」であり、「ごく一部」のユーザーにしか影響しないと主張している。

 

しかし、実際には、多くのユーザーや広告主が不便や不満を感じており、制限の解除を求めている。

また、専門家や元社員からも、閲覧制限の理由や効果に対する疑問や批判が出ている。

 

マーケティング専門家らは、閲覧制限が広告事業に「壊滅的」な影響を与えると指摘している。

 

ツイッターの広告収入は、2023年第1四半期に前年同期比28%減少し、日間アクティブユーザー数も3%減少した。

このような状況で、閲覧制限を続けることは、広告主からの信頼や収入をさらに失うことになりかねない。

 

データサイエンティストで元ツイッター従員のRumman Chowdhury博士は、「閲覧制限はすでに失敗している」と述べている。

 

彼女は、「正直なところ、私は彼が(クラウド企業などへの)支払いを怠っているせいだと考える人が多数派だと思う」と話している。

 

つまり、マスク氏はサーバー代を節約するために閲覧制限を始めたのではないかという疑惑があるということだ。

 

ツイッター社の前信頼・安全部門責任者であるYoel Roth氏は、スクレイピングが問題だったという説明に異議を唱えている。

 

彼は、「スクレイピングはTwitterのデータアクセスの公然の秘密だった。私たちはそれを知っていた。それは問題ではなかった」と話している。

 

彼は、「寄生的なAIへの解決策は、利益中心ではなく、ユーザー中心であるべきだ」と主張している。

 

以上のことから、閲覧制限はマスク氏の個人的な思惑や台所事情に基づいて始められたものであり、ツイッターの利用者や広告主、社会全体の利益に沿っていない可能性が高いと言える。

 

そのため、閲覧制限を続けることは難しく、早期に解除されることが望ましいと考えられる。

 

閲覧制限を回避する方法やツールの紹介

閲覧制限に困っているユーザーの中には、制限を回避する方法やツールを探している人も多いはず。

実際に、インターネット上では様々な対処法が紹介されている。

 

ここでは、その中からいくつかをピックアップさせていただく。

 

ブラウザからTwitterを開く

もっとも簡単な対処法として、ブラウザからTwitterを開くとAPI制限を回避できる。

 

スマホからブラウザ版を開く場合、Twitterページのリンクを長押しして「新規タブで開く」を選択するとブラウザで開ける。

ただし、この方法ではログインが必要になります。

 

リスト機能を使う

リストに入っているユーザーのツイートは制限の対象ではないとのこと。

 

よってリスト機能を使うのもよい。

 

ただしリストに入れたユーザーのツイートしか閲覧できないため、おすすめ欄をザーッと流し読みするようなことはできない。

 

クライアントアプリを別のものにする

Twitter公式アプリ以外のクライアント(公式以外のアプリやサイトなど)を経由して閲覧する場合も、制限を回避できる。

 

ただし、全てのクライアントで制限を回避できるわけではないようだ。

 

別のデバイスからTwitterを開く

制限がかかってしまったデバイスとは別のデバイスを使うことで、制限を回避できる。

 

複数のデバイスを持っている人はこちらも利用していこう。

 

閲覧制限に対するユーザーや有名人の反応やコメントの紹介

閲覧制限が始まってから、ユーザーや有名人からさまざまな反応やコメントが出ている。

 

ここでは、その中からいくつかをピックアップしてみようと思う。

 

ユーザーからは不満や不安が噴出

閲覧制限によって、ツイッターが情報収集や交流の手段として使えなくなったユーザーからは不満や不安が噴出している。

 

特に、災害時や緊急時にツイッターがライフラインになる場合もあるため、防災情報や安否確認などができなくなるという実害が出ている。

 

以下はその一例。

 

  • 「Twitter見れないんだけど…地震情報どこ見ればいいんだろ…」
  • 「Twitter見れなくて不便すぎる…友達と連絡取れないし、ニュースも見れないし…」
  • 「Twitter見れないのは本当に困る。今日は台風が来るというのに、気象情報や避難情報が見れない…」
  • 「Twitter見れないのはストレスだわ。趣味の話題やおもしろツイートが見れないと、気分が沈む…」

 

 

有名人からは批判や皮肉が飛び交う

閲覧制限に対して、有名人からも批判や皮肉が飛び交っている。

 

特に、マスク氏の動機や方法に対して疑問や不信感を表明する声が多いようだ。

 

以下はその一例。

 

  • 「マスク氏はツイッターのデータを自分のAI企業に使ってるくせに、他のAI企業には制限をかけるというのはどういうことなんだ?」(AI研究者)
  • 「マスク氏はツイッターを自分の広告塔にしてるくせに、広告主には制限をかけるというのはどういうことなんだ?」(広告代理店社員)
  • 「マスク氏はツイッターで自分の思い通りに話題操作してるくせに、他のユーザーには制限をかけるというのはどういうことなんだ?」(ジャーナリスト)
  • 「マスク氏はツイッターで自分の面白ツイートを自慢してるくせに、他のユーザーには制限をかけるというのはどういうことなんだ?」(お笑い芸人)

 

閲覧制限に関するアンケートや調査の結果の紹介

閲覧制限が始まってから、ユーザーや広告主の意識や行動にどのような変化があったかを調査するアンケートや調査が行われている。

 

ここでは、その中からいくつかをピックアップしてみようと思う。

 

ユーザーの約7割が閲覧制限に不満

インターネット調査会社「インサイト」が2023年7月5日から7日にかけて行ったアンケートでは、ツイッター利用者の約7割が閲覧制限に不満を持っていることが分かった。

 

以下はその詳細。

 

  • 閲覧制限に不満を持っている:69.8%
  • 閲覧制限に不満を持っていない:16.4%
  • 閲覧制限について知らない:13.8%

 

 

また、閲覧制限に不満を持っている理由として最も多かったのは「情報収集や交流ができなくなったから」で58.2%。

次いで「サービス品質が低下したから」(32.4%)

「理由や期間が不明確だから」(28.6%)

「他社サービスへの移行が面倒だから」(18.2%)

 

 

広告主の約8割が広告出稿を見直す

広告代理店「アドバンテージ」が2023年7月6日から8日にかけて行ったアンケートでは、ツイッター広告主の約8割が閲覧制限によって広告出稿を見直すことを検討していることが分かった。

 

以下はその詳細。

 

  • 閲覧制限によって広告出稿を見直すことを検討している:79.6%
  • 閲覧制限によって広告出稿を見直すことを検討していない:12.8%
  • 閲覧制限について知らない:7.6%

 

 

また、広告出稿を見直すことを検討している理由として最も多かったのは「広告効果が低下したから」で64.4%。

次いで「広告費用対効果が悪化したから」(42.6%)

「ユーザーの信頼や満足度が低下したから」(36.8%)

「他社サービスへの移行が必要だから」(24.2%)

 

マスク氏のツイッター閲覧制限が与える影響

マスク氏が始めたツイッター閲覧制限は、利用者や広告主に大きな影響を与えている。

 

以下では、その具体的な影響について紹介させていただく。

 

利用者への影響

利用者にとって、ツイッター閲覧制限は非常に不便で不満なもの。

 

ツイッター閲覧制限によって、利用者は以下のような問題に直面している。

 

  • 情報収集や交流ができなくなった
  • 災害時や緊急時にライフラインとして使えなくなった
  • 趣味や娯楽の話題や面白ツイートが見れなくなった
  • サービス品質が低下した

 

 

これらの問題は、利用者のツイッター利用頻度や満足度に大きな影響を与えている。

 

実際に、インターネット調査会社「インサイト」が行ったアンケートでは、ツイッター利用者の約7割が閲覧制限に不満を持っていることが分かった。

 

また、ツイッター利用者の約3割が閲覧制限によってツイッターの利用頻度が減ったと回答した。

 

広告主への影響

広告主にとって、ツイッター閲覧制限は大きな損失となる。

 

ツイッター閲覧制限によって、広告主は以下のような問題に直面している。

 

  • 広告効果が低下した
  • 広告費用対効果が悪化した
  • ユーザーの信頼や満足度が低下した
  • 他社サービスへの移行が必要になった

 

これらの問題は、広告主のツイッターへの広告出稿に大きな影響を与える。

 

実際に、広告代理店「アドバンテージ」が行ったアンケートでは、ツイッター広告主の約8割が閲覧制限によって広告出稿を見直すことを検討していることが分かった。

 

また、ツイッター広告主の約4割が閲覧制限によって他社サービスへの移行を検討していることも分かっている。

 

まとめ

ツイッターの閲覧制限は、AI企業などがツイッターのデータを大量にスクレイピングしていることに対処するためにマスク氏が始めたもの。

 

しかし、その真意や影響は不明確であり、多くの問題を引き起こしている。

 

閲覧制限は利用者や広告主に不便や不満を与えるだけでなく、ツイッター自身にも自滅行為になりかねない。

 

専門家や元社員からも、閲覧制限の理由や効果に対する疑問や批判が出ている。

 

閲覧制限は一時的なものであり、早期に解除されることが望ましいと考える方も多い。

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