鮮度が命のお刺身。
意外なことに、手間を少しかければ冷凍保存が可能。
もちろん冷凍前と比べると触感などが悪くなるけど。
それでも手元にお刺身が多くある場合は、冷凍保存の方法を知っておけば重宝するはず。
今回の記事では、そんなお刺身の冷凍保存方法についてお伝えする。
お刺身の冷凍保存方法の注意点1|加工方法
お刺身を冷凍保存する場合、いくつかの注意点がある。
まず大前提として知っておきたいのが、冷凍に適した生魚の加工方法がある点。
- サク
- 切り身のお刺身
- 最初から冷凍されている魚
また魚の種類によっても冷凍保存できる期間が異なってくる点にも注意をしたい。
サクについて
冷凍することを前提にするのなら、サクの形で購入したい。
サクというのは、お刺身として切り分ける直前のブロック状の物のこと。
切身のお刺身について
切身のお刺身は、空気に触れている面が多いためサクよりも劣化が早い。
多少の劣化に目をつむるのなら、一手間かけることで冷凍保存が可能。
その一手間の中でも、特に効果的なのが下味をつけての冷凍。
そのまま冷凍にするよりもは、味などの劣化を抑えることができる。
食べ残しのお刺身には注意
この切身のお刺身で注意したいのが食べ残しのお刺身。
食べ残したお刺身は、常温にある程度の時間放置されていた物であるともいえる。
このためかなり劣化しており、通常の冷凍保存には向かない。
だから食べ残しの場合は、冷凍するのなら必ず下味処理をしたい。
最初から冷凍されている魚
購入時に冷凍されている生魚は、そのまま冷凍庫に入れておけるのが便利。
家庭用冷凍庫は-20℃前後まで冷やせるけど、業務用冷凍庫度-30℃以下にまで冷やせる。
このため急速に冷凍できるため、業務用の冷凍庫で冷やしたほうがお魚の劣化が小さくて済む。
なお冷凍されている生魚は、真空パックを使うことでより安定した冷凍保存が可能になる。
お刺身の冷凍保存方法の注意点2|保存期間
お刺身の冷凍保存できる期間は大体1ヶ月~2ヶ月間。
冷蔵庫の冷凍室の性能や魚の状態などによって違ってくる。
また冷凍庫の扉を頻繁に開け閉めすれば、その分だけ冷凍させた魚の劣化がすすんでしまう。
それと冷凍してあっても時間とともに徐々に劣化していきおいしさが失われていく。
だから冷凍したお魚は早めに食べるようにしたい。
お刺身の冷凍保存方法の注意点3|その他
お刺身の冷凍保存には上記以外にも注意点がいくつかある。
ここでは、少し細かな注意点についてお伝えする。
- 再冷凍はできない
○一度解凍したお刺身の再冷凍はダメ
→衛生的にも味の面でも悪い影響が出る
○店頭にも冷凍したものを溶かしたものも
→こちらも再冷凍は味の劣化を招く可能性がある
→記載されていることが多い - 解凍後
○生魚と同じ扱いをする
→その日のうちに食べるなどする - 釣ってきたお魚は寄生虫に注意
○海水魚に寄生することが多いのはアニキサス
→内臓に多く温度が上がると身へと移動する
→早めに内臓を取り出したい - 冷凍庫のドアの開け閉めは最小限に
○表面が解けるなどして冷凍した魚が劣化する - 食べきれなかった刺身は下味冷凍
○食卓に上った魚は長い時間常温にあった
→かなり劣化しておりそのままの冷凍は避けたい
→下味処置をしてからの冷凍がオススメ
冷凍保存の最大のポイント
お刺身を冷凍保存をする場合、もっとも大切にしたいのがドリップの処理。
生魚から出る赤い液体をドリップとよぶ。
このドリップが出る過程で鮮度が失われ、あの魚特有の生臭さが生じてしまう。
だから冷凍保存の前にドリップを拭き取るなど、冷凍するまえにドリップの処理を行う必要がある。
このドリップの処理を行わないと本当に酷いことになるので忘れないようにしよう。
ドリップが出るのを防ぐには
お刺身のような生の魚は、冷凍前に表面をキッチンペーパーなどで拭いてドリップを減らすことが大切。
でもゆっくりと冷凍をすると、せっかく拭き取ったドリップが出てしまう。
だからお刺身を冷凍する際には、凍らせるまでの早さが求められる。
そのためにはステンレスのバットの上に乗せて冷凍庫に入れるなどの工夫を行うといい。
もしもステンレスのバット等が無い場合は、アルミホイルで包み込むという手も中々効果的。
刺身の保存方法|切り身の場合
まずは切り身の具体的な凍結方法についてこれからお伝えしていく。
切り身の場合、サクと比べて冷凍保存に手間がかかる。
それにサクと比べて空気に触れる面が広い分だけ、劣化が進むのも早い。
だから冷凍をする場合、なるべく早く処置を済ませて冷凍してしまいたい。
- パックから取り出す
- 水気をしっかりととる
○キッチンペーパーなどで表面を拭く - ラップで包む
○一切れずつ分けて包む - 密閉する
○ファスナー付きの保存袋などを使用 - 冷凍保存する
冷凍保存する場所は、冷凍庫よりもチルド室の方がお刺身には向いている。
ただチルド室の場合は、保存できるのが長くても2週間ほど。
それに冷凍庫に入れた場合よりも劣化も早いので、冷凍庫に入れた場合よりも更に早く食べきるようにしたい。
注意点
生のまま冷凍保存できるのは、長く常温に置いていないお刺身だけ。
食卓に乗せた食べ残しのお刺身などは、常温に置かれていたため劣化が進んでいる。
だから生の冷凍保存には向いておらず、解凍して食べる頃には劣化がさらに進んで味がひどいことになりかねない。
よってこういったお刺身は、下味処理をするなど解凍後に調理に使う前提での冷凍するようにした方がいい。
刺身の保存方法|サクの場合
冷凍するのなら、切り身よりもサクの方が向いている。
もちろん冷凍保存する場合は、切り身にせずサクのまま凍らせることになる。
- 表面の水分を拭き取る
- ラップで包んで密閉する
- アルミホイルで包む
アルミホイルで包むことは、かなり強力な冷凍方法。
よく冷凍するときに金属のトレイに乗せるといいと言われるけど原理はアレに近い。
冷気伝道が早いアルミホイルで包むことで、かなり早くお刺身を凍らせることができる。
だからお刺身の劣化を最小限に抑えられる。
刺身の保存方法|一尾丸ごとの生魚
一尾丸ごとの生魚は、傷みやすい部分を冷凍前に取り除くのがポイント。
傷みやすい部分というのは、頭、エラ、ウロコ、内臓(ワタ)など。
この傷みやすい部分を取り除いたのなら、冷凍方法はサクの場合と変わらない。
一つ付け加えると、切り身にせずサクの形で冷凍にした方が空気に触れる面が小さいので劣化が少なくて済む。
刺身の保存方法|下味処理
生魚の状態よりも、下味処理をした方が劣化を小さくできる。
だから食べ残しのお刺身や、調理に使うつもりで購入した魚については生で冷凍するよりも下味処理をして冷凍する方がいい。
この下味処理は、漬けにすると表現される方法を使う方が多い。
凍らせたお刺身の解凍方法
お刺身(生魚)は、冷凍方法だけでなく解凍方法にも注意をする必要がある。
特に問題となるのが、解凍時に魚から出る赤い液体(ドリップ)
水分だけでなく様々なうまみ成分が含まれているため、ドリップが出ると生魚の品質低下につながる。
ドリップが出やすい解凍方法
ドリップが出やすいことから、お刺身には向かないとされる解凍方法が存在する。
特に流水解凍や、自然解凍はドリップが出やすいので避けるようにしたい。
逆にお刺身に適した解凍方法も存在する。
お刺身に向いた解凍方法
ドリップが出にくいお刺身に適した解凍方法でとくに有名なのは以下の3つ。
- 冷蔵庫解凍
- 流水解凍
- 電子レンジ解凍
具体的な行い方は以下のようになる。
まずは冷蔵庫解凍。
この冷蔵庫解凍は、臭み発生の原因となる水分を脱水シートなどが吸い取ってくれるのがありがたい。
ただ解凍に時間がかかるので、食べたい日の朝から冷蔵庫解凍を始めるなどの工夫が必要となる。
- 脱水シートでお刺身を包む
○脱水シートはキッチンペーパーでも良い
→キッチンペーパーの場合は2重に包み
→乾かさないため - 冷蔵庫に入れる
○4~6時間程度
→魚の厚さや大きさによって少し変わる - 手で触れて柔らかく感じたら解凍終了
次は流水解凍。
この流水解凍は、保存袋にお刺身を入れて水に触れさせないことが大切になる。
- ボウルに水を張る
- 保存袋などでお刺身を密閉する
- 水を張ったボウルに密閉したお刺身を入れる
- 細く水道水をボウルに注ぎ続ける
流水解凍の仲間には氷水解凍という方法もある。
氷水解凍は、密閉したお刺身を氷水に浸けておいて解凍する方法。
流水解凍よりもドリップが出にくく鮮度が落ちにくい。
次は電子レンジ解凍。
電子レンジ解凍は、短時間で解凍できるのが長所。
200W程度の低出力で加熱することになる。
ただ解凍ムラが出やすいなどの欠点があるし、電子レンジの種類によっては失敗しやすい場合もある。
だから安定しない解凍方法であるといえる。
凍ったまま調理してしまうという手もある
凍らせたお刺身は、凍ったまま調理に使ってしまうという手もある。
ドリップが出やすいのは-5℃から-1℃。
この温度帯を、過熱をしないことで早く抜け出せるのでお刺身の劣化を最小限にできる。
おわりに
今回は、お刺身の冷凍保存についてお伝えした。
お刺身は、基本的に冷凍保存をすると劣化をしてしまう。
だからお刺身を冷凍保存する場合は、劣化をどれだけ抑えられるかを考えて冷凍方法を選ぶ必要がある。
可能であれば下味をつけて保存できるのがベスト。
もしも下味をつけるのが難しく生のまま冷凍しなければいけない場合は、なるべく早いスピードで冷凍するように工夫をしようね☆-( ^-゚)v